検診

●抗議声明文


福島県立大野病院による産婦人科医の不当逮捕・起訴に抗議

茨城県真壁医師会

初めに、今回の医療事故で亡くなられた患者様ならぴにご遺族の方々に心から哀悼の意を表します。
二〇〇六年二月十八日、福島県立大野病院の産婦人科医師が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕、その後起訴されたことは医療界に大きな衝撃を投げかけました。この医療事故は、二〇〇四年十二月十七日、福島県大熊町の県立大野病院で発生したものです。前置胎盤のため帝王切開を受けた女性が不幸にも死亡されましたが、医師は超音波検査で術前に前置胎盤と診断し、慎重な準備の下で手術を行っています。しかし癒着胎盤という極めて特異的な病態により予測を遥かに上回る出血の為、死に至ってしまいました。病院は翌日、保健所に報告しその後事故調査委員会を設置し、二〇〇五年三月に調査結果を公表し、六月には福島県による関係者の懲戒処分が既に行われています。それにも関わらず、一年二カ月後、診療中の医師が突然逮捕されるという事態が起こり、衝撃が走りました。逃亡の恐れや証拠の隠滅などは考えられず、人権無視の不当逮捕と言わざるを得ません。このような人権侵害とも言える不当な逮捕に対して、茨城県真壁医師会としては、福島県警察及び検察に抗議の意を表明いたします。逮捕理由となったのは、医師法第二十一条「異状死の届出義務」違反ですが、当初の立法趣旨は「医師が犯罪の発見と公安の維持に協力すること」であり、また、異状死の定義も不明確な現在の日本においては、医師法第二十一条の拡大解釈による不当逮捕と考えざるを得ません。     
産婦人科医や小児科医の減少に伴い、お産や小児診療における医療状況は悪化の一途をたどりつつあることは周知の事実です。更に今回のような事態が公然と行われるようになれば、全ての科において医師たちの意欲は低下し、萎縮診療の拡大、地域医療の弱体化に結びつく危険性があります。その結果最も被害を受けることになるのが国民なのです。医療は日々高度化してきていますが、医療に本当に必要なものは、安全性、正確性そして社会保障であると思います。医療費削減を掲げる余りの国の診療報酬体系にも責任の一端があると考えます。
少子高齢化を憂うるのであれば、命を扱う医療現場にもう少し目を向けていただきたいと願うものであります。
本会は、今回の事件によって医療従事者が萎縮することなく、より良い医療を安全に提供できる環境が守られることを目的とし、署名を持って抗議するものであります。

●関連新聞記事
 ・平成18年6月4日付 茨城新聞
 ・平成18年6月6日付 茨城新聞